『 士幌線 国鉄代行輸送車 』

  

(写真)帯22そ1110(?)/三菱ローザ

 

高校時代・…というと、もう20年以上も前の話。
当時は周遊券を使って北海道のローカル鉄道を乗り歩くのが好きな学生でした。
胆振線・岩内線・美幸線・湧網線・深名線そして三菱大夕張鉄道etc
中でも路線の末端を休止扱いにして、バスによる鉄道代行輸送をしていた士幌線には強く関心を引かれました。

ある暑い夏の一日、帯広から朝二番の気動車列車に揺られ降り立った糠平駅。
北海道とはいえ、さすがに汗が止まりません。
さして広くもない駅前には『糠平⇔十勝三股間』のサボを掲げたマイクロバスが停車中。
国鉄士幌線は1978年から糠平駅と終点・十勝三股駅間を休止、バス代行に転換。
受け持っていたのは地元タクシー会社の「上士幌タクシー」。
バスとはいえ‘士幌線’の一部として扱われていた為、周遊券でも乗車可でした。

 

時刻表(日本交通公社/国鉄監修北海道時刻表 1986.8.1発行)

721D 723D 725D 727D 729D 731D

駅名

営業/換算キロ 722D 724D 726D 728D 730D
606 751 1417 1702 1907 2017 帯広 おびひろ 0.0 736 924 1300 1730 2218
612 757 1423 1708 1913 |  木野 きの 4.4/4.8 731 919 1254 1724 | 
619 805 1430 1719 1920 2029 音更 おとふけ 10.0/11.0 723 912 1248 1718 2207
628 813 1438 1728 1928 2037 駒場 こまば 15.6/17.2 715 905 1241 1711 2200
632 817 1442 1732 1932 2041 武儀 むぎ 18.4/20.2 710 901 |  1706 2156
638 824 1449 1738 1938 2048 中士幌 なかしほろ 22.5/24.8 704 856 1233 1701 2150
651 850 1501 1751 1949 2058 士幌 しほろ 30.1/33.1 654 847 1225 1651 2142
658 856 1508 1758 1955 2105 北平和 きたへいわ 34.4/37.8 642 841 |  1645 2137
705 903 1515 1805 2002 2111 上士幌 かみしほろ 38.4/42.2 637 836 1216 1640 2132
712 911 1522 1812 2010   萩ヶ岡 はぎがおか 43.5/47.9 630 829 1209 1633 2116
721 920 1531 1821 2019   清水谷 しみずだに 48.8/53.7 623 823 1202 1626 2109
730 |  1539 1829 2027   黒石平 くろいしだいら 53.6/59.0 |  |  |  |  | 
|  |  |  |  |    電力所前 でんりょくしょまえ - 615 814 |  1618 2101
743
800
942
947
1553
1615
1843
1850
2041
   
  糠平 ぬかびら 59.7/65.7 606
600
806
750
1146
1138
1609
1600
2052
   
821 1008 1636 1911     幌加 ほろか 71.3/78.4 540 730 1118 1540  
833 1020 1648 1923     十勝三股 とかちみつまた 78.3/86.1 527 717 1105 1527  

*糠平〜十勝三股間バスで運転

 

乗車したのは地元客1人と鉄道ファン2人、それに私の計4人。
夏休み期間中なので「もっと乗るかな?」と思っていましたが、
同じ列車で糠平まで来た‘汽車好き’は休止区間=「廃止」と考えているのか、
小さなバスなど眼中にないようで一向に乗ろうとしません。
乗客が増えないのを確認すると運転士はドアを閉め、軽いハンドルさばきで発車しました。
バスは駅より少し高いところを走る国道へ上がると、温泉街を半周し糠平湖湖畔を北上。
席を右に取ったので車窓には水を湛える人口湖と、針葉樹の木々の間に錆びた鉄路が見え隠れ。
湖の北を横断する‘第四音更川鉄橋’の赤いガーター橋が見えたときは血圧が上昇(笑
他のファン2人も窓に釘付け状態です。

幌加駅前は雑草が生い茂り、その奥に駅らしい廃屋が・…降車客なくバスは通過。
クマネシリ岳・石狩岳・2013峰などの山々に囲まれた開けた溶岩台地。
エゾマツやカラマツが並ぶ国道を結構な速度で走破して、終点にはちょっと早着したように憶えています。
十勝三股駅は深い藪の中。
昔は登山客も降り立ったであろう駅前は荒廃し、山小屋風の駅舎も窓は塞がれ入れない状態。
その脇からホームに上がると目の前は一面の藪の原。
傾いた駅名板、×印が打ちつけられた腕木信号機、動くことのない転轍機・・・・。
汽車が来なくなって8年も経つと、なんとも荒れ果てるものです。

遠くではバスに同乗した鉄道ファンが給水塔の下でウロウロ。
近づいて声を掛けると同じ高校生で、なんでも札幌からやってきたとか。
こんな僻地で奇遇な出会いと意気投合。
叢の中でターンテーブルを回したり(スムーズに回転したから驚き!!)
給水塔に登って中の水(これまた満々と冷たい水が入ってました)を下にぶちまけたり、
転轍小屋の切り替えレバーをガチャガチャ動かしたり・…もう悪戯し放題。

折返しの時間まで40分。
真夏の太陽が構内に降りそそぐ、野趣あふれる終着駅での体験でした。